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埼玉大学的将来

 私の記録では、昨年(2005年)の12月15日に夕方に、教養学部の大会議室で反学長の集会があった。「反学長」というのは、もともとそういう志の人が考えた集会であることに由来する。私は「反学長」色を強く出すべきだ、という立場だったけれど、「反学長」というと人が集まらない、という判断がリーダー格の方々にはあった。そのため、名称は「全学対話集会」、「埼玉大学の将来を考える」といった、薄まった表現になった。
 集会の世話役が同僚の某先生だったので、私は早くから協力を申し出ていた。必要だったら話をします、と申し上げていた。他に話す人が少なかったということか、私も報告をすることになった。報告といっても、私は生協関係者や組合幹部のように定常的な活動をしている訳ではないので、単に自分の考えをいう、ということである。
 その日の私の話のハンドアウトはファイルで残っている。ただ、私はこの日は、このハンドアウトの通りには話さなかったと記憶している。
 私の議論のポイントは2つあった。この集会でこの2つを言ったというのは、我ながら私が天邪鬼だった、ということかも知れない。

 第1ポイントは、学長の財政状況判断は基本的に正しい、ということである。「財政状況判断」とは当時、学長が何かの文書で、埼玉大学の財政状況は限りなく私大に近づいていると書いたことを指している。
 たぶん学長の真意と私の考えとは異なっている。学長が私大に近づいている云々といったのは、埼玉大学は交付金や外部資金が少ないため、収入の多くを授業料収入に頼っている、その点では(比較的)私大に近い、という程度のことである。だから頑張れ、ということなのだろう。
 私の考えは、交付金の減少は現在想定している程度、つまり効率化係数がかかるという程度で終わるはずはない、ということである。国立大学を私学より財政的に優遇させる根拠は薄れている。だから何かのキッカケがあれば国立大学は、形式上は国立大学法人のままでも、実質的には民営化と同じことになるだろう、ということである。
 この「実質民営化」を視野に入れて埼玉大学の計画を進めないと危ない、というのが私の第1のポイントである。

 第2のポイントは、この会合の出席者にとってはより刺激的だったと思う。大学間の統合をしないなら埼玉大学は「3部局」でやってゆくしかない、というのが第2のポイントだった。「3部局」とは、理工、教育、それに経済+教養のことである。
 埼玉大学は大学間の統合に踏み切るべきだと、そもそも私は思っている。あの群玉統合を止めたのは正しかった。何の展望もなかった(ように見えた)からである。
 が、あの群玉統合を進めていれば、良くも悪くも、埼玉大学の方向性はハッキリしていた。あの統合を「棚上げ」した時点で、学長は群玉統合に換わる大きな目標、大学の将来像を提示する責任があった。その責任は今も果されていない。
 私見では、地方国立大学に統合が必要である根拠は少なくとも2つある。1つは、この程度の規模では新たな展開をするだけの資源を捻出できないことである。法人化後の埼玉大学の経過をみればこの点では何も補足する必要はないだろう。もう1つは、長期的な行政の地方移管の流れの中で、地方国立大学は早めに「特別な大学」としての地位を築く必要があることである。旧帝大は総合基幹大学の形を取っているから、地方が財政支出する対象に、当然なり得る。しかし埼玉大学程度では難しい。
 潜在的には大学間統合は必然だといっても、今統合をしようとしてできる客観的情勢にないことも明らかである。だからそれまでの「つなぎ」が必要だ。統合以外の方策は、統合が生じるまでの「つなぎ」という意味しか持たないように思う。
 問題はその「つなぎ」もできていないことである。
 埼玉大学の場合、「つなぎ」をするとすれば、新たな展開を示すことを可能にする何かが必要だ。今できることといえば学内再編である。
 教育学部は、少なくとも現状の制約の下では単独で展開していただく以外にないように見える。理工は院部局化とともに(形式上は)一緒になった。後できるのことは他の2学部しかない。この2学部を一緒にするといってもうまくは行かないが、何らかの「共同運航」をする以外にないだろう。人員が暫時削減されてゆく今後を考えると、それ以外にしのぐ方策はないように見える。

 私がその会合で言ったことは概ねこんなことだった。今の時点で同じことをいったら、あちこちからぶっ叩かれるだろうな、と考えるこの頃である。

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