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教養学部は研究科合併にどのように対応したか?(下)

 さても,平成26年の4月も終わりにさしかかり,ゴールデンウィークに入った.休日とはいえ,その間にも送受信した業務上のメールの数はおびただしい.その半数くらいは広い意味で人社研の設置に関係している.だから設置のための作業はしているのであるが,だからといって設置申請の文書作成が進んだ訳ではない.そういう訳で,設置申請には作業が間に合わないというのが私の感想だった.
 しかし設置の作業はいきなり終盤を迎えることになったのである.ゴールデンウィークが終わった5月7日の午後8時過ぎに事務長から1本のメールが入った.大学に文科省から連絡が入り,今回の設置は事前伺いでよい,と言われたという.これまで,通常の設置で設置審にもかかることを前提にしていたが,事前伺いということは書類の数は少なくてよい.しかも設置審にかけないでよいことになったのである.
 私の考えに過ぎないが,事前伺いで済むことになった第2の理由は(第1の理由は,書かない),計画している新研究科の内容が,前年11月17日の転換以来,現行の研究科と近づいたことである.しかも27年度設置の方針によって新機軸は落ちていったのである.結果として,以前にあったのと名称も同じような専攻が並ぶ計画に修正された.悪く言えばあえて新規に設置する意味がどこにあるのか,という話であるが,現実的に考えれば今やっていることを大きく変えることは無理だったのである.
 事前伺いでよいか,設置審にかかるかは,微妙な問題である.某国立大学の某学部では,学科編成の変更を事前伺いでよいと言われていたが,年度が変わり係官が変わると設置審にかけろと言われ,大変だったという.文科省による扱いがどうなるかは神学的判断だということなのだろう.
 設置の作業が楽になったのは有難かった.しかし事前伺いになることよって,新研究科構想が潰れるという可能性も消えたのである.無理に27年度設置で進んだ場合,特に設置審にかかる場合,原則としては何があるか分からなかったのである.最後まで構想を潰すことを諦めなかった私が覚悟を決めた瞬間でもある.
 作業が楽になったとはいえ,書類はすぐに提出しなければならない.経済学部側と協議しつつ,文書作成を急いだ.しかし何と言っても,頑張ったのは事務方だった.数日後に書類を提出した.続けて,教養学部側は教職の課程申請が必要だった.課程申請については,手続きに詳しい事務方にまたも頑張って頂き,さして日を経ずに書類の提出にこぎつけたのである.
 6月の中頃に文科省から,設置に関する補正意見と要望意見が届いた.指摘への対応を決め,1週間ほどで返事を出した.設置を認めることを示す回答が文科省から届いたのは8月である.

 文科省への設置対応は終わったとは言え,新研究科を作るとなると決めるべきことは多く,それらはほとんど先送りしていたのである.まず新研究科の学生募集の手配が,事前伺いと決まった頃に進めなければならなかった.そこですぐに入試に関するルールを決めながら,募集要項の案を作り,早期に募集をかけなければならなかった.英語圏の受験者を想定した英語プログラムの募集も計画していたので,その要項作りにもかかった.また,新研究科のウェブサイトやパンフレットの手配にもかかった.秋以降になると研究科教授会,代議員会,分科会,部会の規程作りにもかかった.詳述はしないが,かなりの協議と時間を要したのである.
 しかも,これまで別々に運営していた両学部が,1つの部局としてどのように新研究科を運営するかという,実際問題も合意しておく必要があった.平成27年の正月頃に私が案を作り,まず教養学部執行部の中で合意した.その後で経済学部側と協議した.経済学部執行部も同じようなことを考えていたらしく,すぐに合意するところとなった.その後,2月にそれぞれの学部長とは別に新研究科の研究科長を選出したのである.教授会以下の諸会議の規程を作り,それぞれの会議の権限が決まったのは3月に入ってからであった.

 かくして慌ただしい平成26年度が終わっていった.私には複雑な感慨があった.新たな年度になれば新しい人社研が始まる.が,人社研の開始は,部局としての教養学部の消滅のときでもあった.部局長としての教養学部長は私が最後になるという,嬉しくない感慨である.いつまでも新年度が始まらなければよいと思ったものである.

(この記載は実話のように書いたフィクションです.)

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