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融合

 一匹の妖怪が埼玉大学を徘徊している.「融合」という妖怪が.

 この3月末までの在職中,私が頻繁に出会った概念が「融合」であった.この融合は,All in One Campus という標語の後ろの方にも出てくるので,今も重要なキータームなのだろう.
 
 大学関係で融合の語はいろんなところで使われている.昔からあったのが「文理融合」である.文と理が協力するというよりは,特色を出せない理が文を引き込んで特色を出そうとする局面が多いように思う.また「理工融合」という言葉もよく使う.学生募集が困難になった都市型大学の工学部が理学を取り入れて志願者を集めようとする場合がそれである.医工融合という言葉も注目される.医学の拡張として工学に近づくのはごく自然なことであり,今後その分野は拡大するだろう.その他,うまく行っている大学では組織名に融合の語が出てくる.東工大では融合理工学系というのがあり,千葉大では従来の融合科学研究科が発展改組して融合理工学府になるらしい.ただその中の研究テーマを見ると,あえて融合という必要があるのか,私には分からない.うまく行かない大学では,融合の組織は発足せずにつぶれるのだろう.
 埼玉大学でも,私の在職中,融合科学(研究科)といった言葉が躍っていた.今サイトを眺めると融合科学研究科構想は「文理創生学院」構想に変わったらしい.が,実際問題としてどういう融合なのかは,寡聞にして伺ったことがなかった.

 上記は学問分野の融合の話であった.埼大の標語の中の「多様性と融合」という場合,多文化的な人材の交流の意味もある,というのが私の好意的な解釈である.
 ただ,文系の人であれば,多文化状況の文脈で「融合」の言葉は使わないように私は思う.現在の優勢な考え方は多文化主義,つまり各文化が自己の伝統を保持しながら共存することを善しとするからである.融合というと,昔の Melting Pot になってしまう.
 ついでに言えば,私は以前から「多様性と融合」という言葉は矛盾しているように感じていた.融合すれば多様性は消えるからである.

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Comments

文理創生学院というのは,なんか予備校みたいですよね.
(*゚▽゚)ノ

Posted by: 予備校みたい | May 03, 2017 at 12:45 PM

「経営と工学」、とか時代遅れも甚だしい(30年以上前?)こと逝ってました。ちなみにシバウラは今年募集停止になりました。
文理創世なんとかもカラッポなんで文科省にウラでバカにされてるようです。

Posted by: 実際問題としてどういう融合なのかは,寡聞にして伺ったことがなかった. | May 03, 2017 at 10:33 AM

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