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教養学部の入試に変更の余地はあるか?

学部の入学定員の配分

  私が退職した2017年の時点では,埼大教養学部の学部入試は前期日程と後期日程に定員を割り振るだけだった.しかし2017年度の時点で推薦入試を始める(導入せざるを得ない)状況であったと記憶している.2018年度入試以後は,(3年次編入学を除く)学部生定員の160名分を,前期日程115名,後期日程25名,学校推薦20名に割り振っていると思う.

 私の在職中の認識からするとこの入試定員の配分は妥当なものである.というより,教養学部を含めて多くの国立大学の学部は,前期日程中心が基本であり,教養学部もこの基本線を外れることは念頭になかったように思う.

 ただ,国立大学を広く見渡せば,もっと違った定員の割り振り方もある.

 例として私が思い浮かべるのは宇都宮大学の国際学部である.宇大国際学部は学部定員90名を,前期日程40名,学校推薦36名,帰国生4名,社会人4名,私費外国人6名に振り分けている.宇都宮大学が文科省に出している部局の実績評価の文書(同大学による記載部分)を見ると,そのように定員を分散させてことに積極的な意義を見出す方向の書き方をしている.宇大国際学部は埼大教養学部などよりははるかに考えて部局運営をしているのは事実と思うが,私の立場からは,それだけ学生の確保の苦労があるのだろうと想像してしまう.たぶん埼大教養学部の人が宇大国際学部の入学定員の配分を見ると,かなり奇抜なやり方のように感じるだろう.

 実は埼大の中でも,理学部と工学部は後期日程の方により定員を割いている.両学部とも学科によって配分の様相は異なるけれども,理学部は合計すると前期より後期の方が定員が多く,工学部は前期と後期にほぼ同規模の定員を割いている.たぶん,前期に上位の大学を受けた優秀な学生を後期で拾うことに利点を見出しているのだろう.

 ここでいいたいのは,埼大教養学部のように伝統的な入学定員の配分から別の配分方法を変えることは,検討に値するかも知れない,という点である.たぶん地方国立大学の入試では,長期的には倍率が低落傾向になる恐れがある.その場合,結果として望ましい学生確保のやり方を変えなければ,学生の質の確保が難しくなる恐れもあるからである.

 入試実施の一般論

  入試のやり方の2要素は,上記のような入学定員の配分と,入試方法(学力試験,小論文等)だろう.ここで話を単純化し,入試方法については最適な方法が選ばれると仮定して,入学定員の配分に限って議論してみよう.入試単位の入学定員の全体規模をCとおき,前期日程,後期日程,学校推薦の定員をそれぞれ x1, x2, x3 としよう(x1+x2+x3 = C ).さらに,入試の望ましさ(評価)v とおくなら,v = f( x1, x2, x3 )と書くことができる.埼大教養学部の場合,C=160 であり,すべての日程について最低10名を割かないといけないという制約があるとするなら,今問題とすべきことは,

    140≧x1≧10, 140≧x2≧10, 140≧x3≧10, x1+x2+x3 = 160.
    という制約の下で v = f( x1, x2, x3 ) を最大化する定員配分を求める.

という問題に帰着する(概念を整理しただけで,こんな表記をすることに実質的な意味はない).

 入試の評価関数

  上では入試の評価関数をと書いた.この評価関数をどう決めるかは議論を要するだろう.

 私が教員として部内の先生方を眺めた感想として,大学の先生方はこうした評価関数を判断するのが得意ではないと感じている.そもそも人は自分を高く評価するバイアスを持つ.その点は大学教員も同じであり,大学の先生方は自分と同じような人間が望ましいと考えている.よく本を読まれる先生は学生が本を読むことを求めるが,私のように本を読まない人間は本を読むことよりは自分の頭で考えることを学生に求める.数学が好きであるかできる先生は学生が数学に強いことを求めたがるが,数学がお嫌いな先生方は入試科目に数学が入ると怒り出す.教養学部はかつて論文試験というのを実施したけれど,あの論文試験も,素材になるような古目の文章を読んで考えをこねくり回すことがお好きそうな先生方が主導者だった.最近の教養学部入試の小論文に出て来る文章は左翼論調の感性一本鎗の文章が多いと感じるが,出題する先生方はそのような方なのだろう.出題者は同じ感性を持つ学生に囲まれていたいと願っているのだろうなと,私は想像して失笑したものである.

 評価関数は教員による晦渋な思考を反映するのではなく,より即物的に割り切ることが重要な気がする.大学の教育評価指標として財務省などが求めているのは教育のアウトプットの簡単な指標,例えば就職率などである.今後はその方向に集約されるかも知れない.入学時点での試験スコア(例えば共通テストスコア)を重視すべきかどうかは,それらのスコアがアウトプットを反映しているかどうかを確認して判断すべきだろう.

 まず学業の指標として,入学後のGPAを何らかの形で使うべきだろう.私が退職間際に知ったことであるが,教養学部では,単位修得状況やGPAの点で成績不良者を特定し,学修指導することになっていた.私が印象的だったのは(そのときに確認した学年についてであるが),成績不良者が後期日程の学生からは出ていなかったことである.同じ観測が安定的に確認できるなら,後期日程からより多く学生をとるべきと思える.また,就職や院進学もアウトプット指標として使われる可能性が高い.何を学んでいるから良い,悪いと考えるのではなく,即物的に,良いアウトプットを期待できる層から多く入学させるべきだろう.

 よくある2つの解

  私の今までの経験では,上記のような最大化問題を考えるとき,よくある「解」のパターンは2つある.

 第1はいわば端点解(corner solution)であり,配分可能な定員を一か所に集中させることである.解を定員配分で表せば,配分可能な定員をすべて,例えば前期日程に集める場合である.この場合,解は(140,10,10)になる.教養学部は(115,25,20)であるから,実はこの解に近い.

 第2は教科書的な解であり,複数の配分先に資源(この場合は入学定員)を適度に配分させる場合である.この解の場合,通常,各配分先(入試日程)による評価への貢献がほぼ等しくなり,配分を変更しても評価は上がらない,という均衡になっている.

 例えば,推薦入試は貢献が少ないので最低の配分とするが,残りの定員は前期と後期で折半する(75,75,10),といった場合である.この場合,後期を増やして前期を減らしても,前期での評価の減少分が後期の利益増大分を上回るので,得にはならない,といった状況になっている.埼大の理工系の場合,前期と後期で分散して定員を配している.志願者倍率では後期の方が前期より高い.しかし,私が以前に確認したところ,志願者倍率ではなく実際に受験する人数で受験者倍率をとると,前期と後期はほぼ同じ倍率になっていた.たぶん,前期の利益と後期の利益(正確にはその限界値)がほぼ等しくなる均衡配分をしているのだろうと思う.

 埼大教養学部を含め,文系の多くの学部では,現状で,第1の端点解のような定員配分で入試をしている.しかしこの判断はこれまで前期日程で良い学生が確保できる程度の志願倍率が見込めたためかも知れない.受験者数の状況によっては新たな可能性を模索する必要があるかも知れない.

分析すべきだろう

  教養学部が現状の定員配分で入試を始めたのは2018年からだった.ということは,そろそろその形の入試の入学生のデータがすべての学年で収集できるようになるだろう.だから入学者のデータを分析することで,現状の配分でよいのか,状況の変化に応じて別の配分が合理的になり得るかを検討できる段階になるだろう.

 むろん,データを分析する人がいれば,の話である.

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大学受験の地理的要因

 大学入試についてネット検索していたら面白いサイトに出会った.次の「統計情報リサーチ statresearch.jp」というサイトである.
https://statresearch.jp/school/university/index.html

 このサイトでは,全国の(主として)国立大学の情報をいろいろ出している.私が参照して感心したのは入学者の出身都道府県(たぶん高校所在地だと思うが)ごとの入学者の分布を出している点である.大学はしばしば出身地ごとの入学者数を公開しているが,実はその数字だけを見ると地理的パターンが分かりにくい.このサイトでは17歳人口の中でどのくらいが当該大学に入学しているかの比率を出しており,その比率を地図として表示している.例えば,ある県から埼玉大学に多く入学したとしても,その県の人口が多ければ確率的に当り前なのである.人口当りの入学者の率を出すことで,その県の受験生が埼大にどのくらい入学しているかが分かる.いわば,人口当たりの入学者の率は,当該大学に対するその地域の受験生の魅力の強さを表している.
 この「人口当たりの入学者の率」を図示することで,当該大学にどの都道府県の受験者が入学しやすいかのパターンが明らかになる.指摘すべきは,基本的に近接性の効果が明瞭なこと,つまり,多くは所在する都道府県からの入学者が多く,次いで隣接する都道府県の学生を吸収しているというパターンが明確なことである.
 次の図は信州大学の入学者率を図示したものである.この図は典型的であり,信州大学は隣接した県から入学者を出していることがよく分かる.ただし関東地方から信州大学に行く学生が少ないのは,関東地方の受験生にとって東京の魅力が強いからだろう.
22021608go_g_02
 次の埼玉大学の入学者のパターンは特徴的であり,私の実感と符合する.
22021608go_g_02_20220216232601 
 人数からいうと埼玉大学には東京から多く入学している.しかし東京は人口が多いので,実は東京からの入学傾向が強いとはいえない.この図からは,東北新幹線,上越新幹線(ないし東北自動車道,関越自動車道)沿いに学生を引きつけていることが分かる.
 埼玉大学は東京の北の玄関口に位置し,交通の要衝になっている点がプラスなのだろう.しかし東京の近いことは,東京に多くのライバル大学があるためにマイナスにもなっていると思う.
 また,上の例とは逆に狭い地域に特化した大学もある.埼大に近い所でいうと群馬大学である.群馬大学は群馬県と栃木県からの入学者が多い.両毛として両県の行き来に歴史があるからだと思うが,交通の流れからは群馬大学は外れている.

 概して地方国立大学は近隣の都道府県から入学者を集め,上位の大学は入学者の範囲が拡散しているような印象である.とはいいながら,上位の大学でも入学者の範囲は地域に制約される.次のグラフ群は,平成28年度の北海道大学が公表したファクトブックのある7頁目である.
https://www.hokudai.ac.jp/pr/HU28_factbook_all.pdf

記載された旧帝大の入学者の出身地を表す円グラフは,旧帝大でも入学者に地域の偏りがあることを示す.
220216

 東大や京大は全国から広く入学者を集めるような印象があるけれど,東大の場合でも東京都から37.5%,関東地方全体で約6割の入学者となっている.東京,関東は人口が多いのは事実であるが,人口比率を越えて近隣から学生が来ている.京大でも58%が近畿地方出身なのである.他の旧帝大にも同じことがいえる.
 この北大資料の上の方に,北海道出身の北大入学者は35.9%であり,他の旧帝大より地元率が低い,それだけ全国から入学している,と書いている.が,この記載は誤りである.北海道の人口は520万人くらいであり,埼玉県の730万人よりずっと少ない.その北海道で35.9%確保しているというのは,立派に地元率が高いのである.(ちなみに,同じ記載は,北大の後のファクトブックからは消えた.)

 上記の「統計情報リサーチ statresearch.jp」は,運営主体を表記していない.だから誰がこの資料を作ったのか不思議であり,怪しいといえば怪しい.ただ,この記載の数字を素人が自力で集めるのは,かなり労力が要る.
 このような数字を容易に手に入れられるのは文科省のお役人,ないし文科省傘下の機関の研究員なのではないか,という気がしている.サイト全体で考えると,他省庁に関するデータも入っているので,さらに謎が深まる.
 調べてみると,このサイトの所在地はあるサーバホスティング会社のサーバであるようだ.だからその会社のサーバで有料でサイトを立ち上げているようである.

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国立大学の親方日の丸入試

 1つ前の記載で埼大教養学部の入試倍率に触れた.その際に他の国立大学の倍率も眺めたのであるが,そうするうちにある感慨が湧いた.地方国立大学はどこも(前期日程,人文系で)倍率が2倍ちょっとのところで揃っている.上位の大学になると3倍くらいのところで揃っている.年度によって多少の増減はあるだろうが,数字は割と安定しているように思える.そうなるように,各大学には志願者が「配給」されているのではないか? いいかえると,私大であれば個々の大学が経営体として判断して競争しながら入試をするのであるが,国立大学の場合は国立大学であることによって上記のような志願者が全体システムとして調整されるようになっている,ということである.だから特段に(平均すれば)倍率が高くなることもなく,低くなることもないのではないか?

特定の国立大学への志願意識は生じにくい

 今の大学入学共通テストが「共通一次試験」として始まって以来,国立大学入試は私が受験生だった頃とは大きく変わった.合否は共通テストと個別試験の点数で決まるが,共通テストについては受験者は事前に自己の成績を把握し,その上で合格可能な国立大学を選んで受験する.個別試験の成績は「賭け」になるけれども,基本となる共通テストの成績が分かっている分だけ,リスクを低減させて受験する.
 先般,文科省が入試改革と称して共通テストに論述式などを導入しようとして挫折したのは,論述式などによって自己採点の正確性が担保されず,リスク低減に支障があることを生徒・学校側が嫌ったからである.
 実際に志望大学を受験生が選択するのは共通テストの後である.となると,特定の上位大学(東大や京大)をあくまで目指す人は別にして,事前に特定の大学を志望するという考えはおきにくい.国立大学は受験生にとって互換的なのである.共通テストの後に各受験生には,予備校による合格判定が配られる.その判定を見て適度な大学を選ぶだけのことである.入試の方法はどの国立大学も似たようなものであるから,自己の共通テストスコアからして可能な大学を選ぶだけのことになる.

国立大学には志願者が「配給」される

 一方で上記のような入試方法の類似性があり,他方で,多少の凸凹はあるにせよ,教育と研究で似たような実績になるように文科省から指導されている結果として,志願者が継続的に少ない国立大学がある場合は志願者が流れて来るようなシステムになっている,と考えるべきだろう.ガチに競争してどこかが潰れるということがないように,温情的なシステムになっている.そういう意味では,地方国立大学は相互に競争している面もあるけれど,結果として似たような倍率を確保できる結果になっている.例えば埼大教養学部は全国から毎年,判で押したように,平均的には300名ちょっとの志願者を集めている.この一貫性は考えてみれば驚くべきことのように思う.この結果はいろんな受験指導者による指導が組み合わさって出来上がっている,ということだろう.受験関係者の「集合知」によって(つまり結果として),この結果が生じるような体制が全国的に出来上がっている,としか考えられない.だから各地方国立大学にとって志願者は,競争して獲得するというより,上位大学,平民大学(地方国立大学)別に,この親方日の丸体制によって「配給」されているようなものなのではないかと思う.
 例えば鳥取県の人口は埼玉県の13分の1程度であり,高知県の人口は埼玉県の11分の1程度である.だからこれらの大学で志願者が確保できるのは,考えようでは不思議でならない.けれども,周囲の県から,例えば鳥取大学であれば人口の多い兵庫県から,鳥取県より多くの志願者を得ている.一般に周辺の県から志願者が流れてきて,どこの国立大学も穏便に,似たような倍率を達成できる,ということなのだ.むろん個別には特殊な事情があり,苦労されている地域の大学もあるが,大勢では学生確保は何とかなっている.

この親方日の丸方式が崩れるとき

 入試におけるこの親方日の丸方式は,むろん崩れる可能性はあるのだと思う.私の素人考えでは,常識論であるが,次の2要因が考えられる.
 第1は18歳人口の減少である.あと20年もすれば18歳人口は2割程度は減少する.進学率が同じで国立大学志願率も同じと考えると,この人口減少によって志願者減が危惧されるのは,上位大学より地方国立大学だろう.受験者人口が減って競争が弱まれば偏差値レヴェルでより低い層が上位大学を受験するだろうが,志願者が少なくなる訳ではないと思う.しかし上位大学志願を除く地方国立大学志願者は減って行かざるを得ない.だから18歳人口の減少の影響を倍率面で強く受け,実質的な選別が出来なくなる可能性があるのは地方国立大学であると考えるべきだろう.
 第2の要因は受験者層の中で国立大学志願率が今より減って行く可能性も考えられる.まず,大手私大の場合は似たような学部が複数あって,受験できる学科が複数あり得るので,何れかの学科に合格できる可能性は比較的高く,志願対象になりやすい.しかし国立の場合は,基本的には前期と後期日程の2回しか機会がなく,後期の場合は可能性がそもそも低い.そう考えると,国立大学志願というのは,戦略としてリスクが高い.だから初めから私大志願にする傾向は今後も強まる,という可能性はあるだろう.さらに,今後は大学生への経済的な公的支援が高まることが考えらる.それ自体は良いことだが,経済的支援が高まることは,相対的に国立大学を志願するメリットが現在より小さくなることを意味している.
 だから,国立大学の中でも地方国立大学が,その存立基盤が危なくなる可能性が高いと考えるべきだろう.
 大学は教育だけではなく研究もしている.しかし地方国立大学の場合は教育面,特に学生が確保できるかどうかで将来のあり方が決められるような気がする.受験者人口が減ったとき,地方国立大学は競争によって潰れる大学を出すことになるのか,あるいは,全体が並んで規模を縮小する道を選ぶのか? 規模を縮小する場合,一部の部局だけを残すことになるのか,全体が現状の比率で縮小させるのか?といった点が不安な要素になるだろう.
 私は早めに大学間の統合の計画を考え,然るべき規模と分野を持った大学の将来像を模索した方がよいと思うが,そのような展開になれるかどうかは,何ともいえない.

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教養学部の入試倍率

 この1/24(月)~2/4(金)が国立大学の学部入試の出願期間だった.この時期になると私は気になって埼大サイトで教養学部の出願数を確認するのが常になった.今年も出願期間中は毎日出願数を確認していた.
 文科省は2/4の午後の時点で,全国の国公立大学の出願数を公表している.ただ,その時点での出願数は確定値ではない.2/7の現時点でもまだ確定とはいえない.理論上は今後も多少の増減はある可能性がある.しかし2/7の公表値を使って問題なかろう,と考えて以下を書き進める.また,主に問題にするのは主日程である前期入試である.後期入試については,定員が少なく年度によってブレが大きく倍率が安定しない面がある.

 今年の教養学部の前期日程の出願数は(2/7公表時で)294名であり,倍率は2.55だった.昨年度は2.42だったので少し改善した.しかし昨年度はコロナ禍で地方回帰がささやかれ,しかも理高文低傾向であり,今年は文系が好調という前評判があったので,もう少し上がっても良かった気がする.
 下のグラフは,2015年度から今年2022年度の8年間での教養学部の前期倍率の推移を表す.周期的な上下があるような気もするが(推定で周期性は検定できる),その上下の範囲内に今年の数字も入っているといえるだろう.ただし,2015-2021年の7年間の平均値は2.73なので,わずかに今年は悪い方ではある.
220207fug1  

図1:埼大教養学部の前期入試倍率の推移

 ただし,この2.55(2.6)という倍率は,横並びで考えると「こんなもの」と考えるべきである.下の表は埼大教養学部と類似した国立大学文系学部の今年の前期倍率(2/7で公表の数字)をまとめている.まあ,大体は埼大教養学部と同じくらいといえる.ただし,埼大教養学部は,人口が多い都会の地域にある割には,特段良くもない.
 なお,下表の中では宇都宮大学の国際学部だけが4.6倍と突出して高くなっている.しかし同学部は昨年度は半分の2.3倍だった.募集定員が40名と小さく,何らかの偶然的に事情で多くなったものと思う.むろん,宇都宮大学国際学部は実によく頑張っている学部である.

表1:類似学部の前期入試倍率(地方国大)
220207table1  

 参考までに,埼大教養学部よりちょっと上の同類学部の倍率を次の表に示す.上の表にくらべ,平均的に少し倍率が高い.この「少し」が実は越え難い格差を表すのだろう.

表2:類似学部の前期入試倍率(上位大学)
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 出願期間中に出願数の累積数がどのように変わったかを次のグラフに示す.例年の癖で,参照点として千葉大の文学部と国際教養学部も一緒に観測していた.
220207fug2  

図2:出願期間中の累積出願数の推移

 このグラフで気が付くのは,千葉大の両学部のグラフがズレたことである.これまでの何年かは,千葉大の文学部と国際教養学部のグラフはほとんど重なり,両学部の倍率は申し合わせたように近い数字だった.今年は国際教養学部の倍率が文学部に比べて低かった.理由は分からない.
 最初の1週間の推移では,埼大教養学部と千葉大の2学部との違いはほとんどない.しかし週明けから千葉大の2学部は倍率を伸ばした.私もこの経過を見ながら,週明けに埼大教養学部の倍率が伸びないな,と思った.週明け直後の時点では,埼大教養学部の倍率はもう少し伸びると私は予想したけれど,2週目にあまり伸びなかった,というのが実感である.

 ここまでの結果を見ると,埼大教養学部は「何かをすべきだ」と考えるほどひどくはない.が,「このままで大丈夫だ」と考えられるほど良くもない.なんとなく中途半端な結果だな,このまま生殺しかな,などと考えてしまうこの頃である.

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