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「魅力ある地方大学」は魅力的か?

国際卓越研究大学と魅力ある地方大学

 現状で国立大学に対し,政府は2つのタイプの大学像を提示しているように見える.1つは国際卓越研究大学,もう1つは地方大学(ないし地域の中核の大学)である.たぶんこの両者に属さぬ大学も想定しているとは思うが(例えば「強みのある研究大学」),「地方大学」とどう違うかは政府の出す文書でははっきりしない.国際卓越研究大学と地方大学の二択が提示されているようにも思える.骨太の方針2022を見ると,この2タイプ以外は想定していないように感じる.

 国際卓越研究大学の方の政府側規定は明瞭である.文科省や総合科学技術・イノベーション会議を見るなら,国際卓越研究大学は「社会変革を牽引する中核」であり,「知・イノベーションの創出」,「新産業の創出」,「グローバル課題の解決」などがミッションとなる.
(https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20220208-mxt_koutou01-000020496_ex1.pdf)

 対して魅力ある地方大学に期待されているのは,(地方自治体や地域の諸組織との連携を前提にすると思うが),地域創生,より明確には地域の産業創出・雇用創出ということになる.また,イノベーションについても,国際卓越研究大学に対して求めるイノベーションとはニュアンスが異なり,(地域産業の)「第二創業的なイノベーション」と明言される.「第二創業」とは「比較的規模の小さい中小企業などににおいて,新しい経営者を就任させ別の分野に進出すること」であり,国際卓越研究大学がなすべきイノベーションとは次元が異なる.
(例:https://www.mext.go.jp/content/20211020-mxt_hojinka-000018545_1.pdf)

魅力ある地方大学に人は行きたがるか?

 「魅力ある地方大学」の中身としては,中教審の大学分科会の資料が最も詳しいだろう(https://www.mext.go.jp/content/20210827-mxt_koutou01-000017637_1_2.pdf).私は何か月か前にこの文書を見て溜息が出た.確かに,米国の場合でも州トップでない州立大学はこの雰囲気なのである.だから仕方ないと思う反面,このような大学像に人は夢を抱くだろうか? 私が今,研究者志望の大学院生なら,国立とはいえ地方大学に行くよりは都会の私大に行きたいと思うだろう.私が当該地域の受験生であれば,そのような地方国立大学に行くよりはやはり都会の私大に行きたいと思うだろう.研究にしろ教育にしろ,知の価値はその中身の普遍性にあるのに,ここまで地域地域といいつつリアル過ぎる目標を突きつけられると興ざめしてしてしまう.
 人に夢を与えない構想は,できれば頓挫してもらいたい.

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